楊潔チ氏,米中関係全国委員会とビデオ対話
2021/02/02

 北京2日発新華社電によると、中国の楊潔チ(竹かんむり+褫のつくり)共産党中央政治局委員・中央外事工作委員会弁公室主任は同日、北京で米国の米中関係全国委員会とビデオ対話を行った。

 楊氏はこれまでの中米関係を振り返り、特にこの数年の状況について次のように指摘した。トランプ政権の極端に誤った対中国政策で、中米関係は国交樹立以来、未曾有の重大な困難に遭遇した。米国の一部の人は冷戦思考に凝り固まり、中国を脅威とみなし、中国の内政に干渉し、中国の利益を損なう一連の言動で、中米間の正常な交流と互恵協力を阻害、破壊し、中米の「デカップリング」さらにはいわゆる「新冷戦」を進めようとし、中米関係を重大に破壊し、両国人民の根本的利益を重大に損ない、今の時代の潮流に背いた。

 楊氏は次のように強調した。歴史と事実が十分証明しているように、中米協力は人心の向かうところ、大勢の赴くとこで、中米の利益は高度に関連し、融合している。一部の人は政治的私利と狭隘な偏見から中米関係の破壊に躍起で、歴史的に誤った側に立ち、両国人民と対立する側に立っており、必ず失敗する。

 楊氏は今後の中米関係について次のように述べた。

 1週間余り前、バイデン政権が正式に誕生した。中米関係は現在、重要な時期にあり、新たなチャンスと挑戦〈試練〉に直面し、今後の動向が両国人民と国際社会から注目されている。中米関係を予測可能で建設的な軌道に戻し、平和共存・協力ウィンウィンの大国同士が付き合うモデルを築くことが中米の共同任務であり、世界各国の幅広い期待でもある。

 中国政府の対米政策は常に高度の安定性と連続性を保っている。中国は米国と共に努力し、中米関係を衝突せず、対決せず、互いに尊重し、協力ウィンウィンを図る軌道に沿って前進、発展させ、両国と両国人民に幸福をもたらすことを願っている。同時にわれわれは引き続き国の主権、安全、発展の利益を断固守る。米新政権が両国の民意と歴史の潮流に従い、協力に焦点を当て、意見の相違をコントロールし、中米関係を健全かつ安定した発展する正しい軌道に戻すことを希望する。われわれは次の幾つかの面で努力できると考える。

 1、中国を正しく認識し、向き合う。米前政権は中国に対し一連の誤った政策をとった。その根源は一部の人の中国に対する戦略的判断ミスで、中国を主要な戦略的競争相手、さらにはライバルとみなしたことにある。これは歴史的、方向的、戦略的誤りを犯したものだ。中国の発展の根本的目標は中国人民がより良い生活を送れるようにすることだ。中国は平和的発展の道を断固歩み、互恵ウィンウィンの開放戦略を堅持し、米国を含む世界各国と共同発展を実現し、人類のすばらしい未来を共に築くことを真心から希望している。同時にいかなる者も中国人民がより良い生活を追求する権利を奪う権利はなく、中国の発展・強大化プロセスはいかなる勢力も阻むことはできないものであると強調したい。実際、中米関係の発展の歴史が十分証明しているように、両国は協力・協調を強化し、共同の発展を実現することが完全に可能であり、また必要で、国際社会も中米の協力を呼びかけている。米国が大国間のゼロサムゲームという古い考えを超越し、中国と共に両国関係の正しい方向をしっかりつかむことを希望する。

 2、正常な交流を再開する。中米関係の発展史には数十年間の両国各界の人々の相互接触、交流、意思疎通、協力の粘り強い取り組みと苦労が秘められており、これまで以上に大切にしなければならない。現在、中米の正常な交流再開には双方が互いに歩み寄り、政府レベルでは双方の大使館などのチャンネルが橋渡しの役割を果たすことが必要だ。両国のシンクタンク、大学、メディア、地方、企業など社会各界もさまざまな形を通じ、中米関係により多くのプラスのエネルギーをもたらすことができる。米新政権が在米中国人留学生に対する嫌がらせや在米中国メディアに対する制限、孔子学院の閉鎖、中国企業に対する抑圧などの誤りや人心を得ない政策・措置を撤回し、両国各界の交流・協力を阻害する「足かせ」を取り除くことを希望する。双方はより一層主体的に中米協力の前向きのシグナルを対外的に発信し、両国人民が互いにプラスの認知を増進し、中米関係の発展を支持する社会・民意基盤を固めなければならない。

 3、矛盾と意見の相違を適切に処理する。中米は二つの大国で、歴史、文化、制度が異なり、幾つかの問題で意見の相違が存在する。鍵は適切にコントロールすることで、両国関係発展の大局を妨げるものにしてはならない。双方は互いの歴史、文化、伝統を尊重し、互いの核心の利益と重大な関心を尊重し、それぞれが選択した政治制度と発展の道を尊重しなければならない。中国は大統領選挙を含め米国の内政に干渉したことはなく、発展モデル輸出したこともなく、イデオロギーの対立をはかったこともなく、米国の地位に挑戦したり、取って代わろうとしたりしたことはなく、勢力範囲を分ける考えもない。米国は中国との三つの共同コミュニケの約束を確実に果たし、一つの中国の原則を厳守し、台湾問題に対する中国の立場と関心を確実に尊重すべきだ。米国は香港、チベット、新疆など中国の主権と領土保全に関わる問題に手を出すことをやめ、中国の内政に干渉することで中国の発展をけん制、阻害しようとするのをやめるべきだ。歴史と現実が繰り返し証明しているように、これらの問題は中国の核心の利益と民族の尊厳に関わり、14億中国人民の民族感情に影響を与えるもので、触れてはならないものであり、そうしなければ最終的に中米関係と米国自身の利益を重大に損なうことになる。米国がこうした問題の高度の敏感性を十分認識し、慎重かつ適切に処理し、中米の相互信頼と協力を妨害、破壊することを回避するよう希望する。

 4、互恵協力を進める。習近平主席が何度も語ったように、中米が協力することで両国と世界に役立つ多くの大事を成し遂げることができる。感染症を前にして、中米が協力でき、協力すべき分野は減ることなく、より多くなり、より広がっている。中米双方が感染症対策、経済回復、気候変動などの分野で協力する余地は非常に大きい。両国は世界の公衆衛生システムをどのようにして共同で整備するかを検討できる。米国の一部政治屋は感染症を口実に中国に汚名を着せることを直ちにやめ、双方の感染症対策協力にプラスとなる雰囲気を作るべきだ。

 経済・貿易問題についは政治問題化すべきでなく、「国家安全保障」の概念を乱用すべきでないと中国は強調している。中国は今後も米国企業の中国での経営・投資を歓迎する。双方は相手方企業に公平、オープンで差別のない環境を提供しなければならない。世界トップの二大経済体〈エコノミー〉である両国の成長の前途が広がるほど、両国人民と世界人民にとって有利になる。中国は米国とマクロ経済政策協調を強化し、また世界の産業チェーン・供給チェーンの安全維持、世界経済金融安定の維持について協力し、両国と世界の経済成長を後押しすることを願っている。

 気候変動対応分野で中国は新発展理念を全面的に貫徹し、気候変動「パリ協定」の約束を揺るぎなく実行に移しており、2030年までの二酸化炭素排出のピークアウトを目指し、2060年までの炭素中立〈カーボンニュートラル〉を目指して努力すると宣言した。中米は気候変動や新エネルギー開発、低炭素の持続可能な発展推進などについて互恵協力を進め、経済・社会発展を実現すると同時にわれわれの共通のふるさと、地球を守ることができる。

 双方は両軍、法執行、麻薬取り締まり、ネットセキュリティーなどの分野の交流・協力を推進し、発展による貧困削減、テロ対策、拡散防止などグローバルな重大な課題と地域ホットスポット問題で意思疎通と協調を強め、世界により多くの公共財を提供しなければならない。双方は国連や世界保健機関〈WHO〉、20カ国・地域グループ(G20)、アジア太平洋経済協力会議(APEC)など多国間の枠組み内で協力を強化することができ、グローバル・ガバナンスを一段と整備、強化し、グローバル化をよりオープン、包摂、バランス、恩恵、ウィンウィンの方向へ発展させることができる。

 歴史発展のすう勢からみて、中米関係の未来は明るいものである。双方が両国人民と世界人民の根本的利益から出発し、互いに尊重し、小異を残して大同につき、意見の相違を有効にコントロールし、共通の利益を拡大するなら、中米関係は必ず改善・発展の道を歩むことができ、両国人民と世界各国人民に幸福をもたらすことができる。米中関係全国委員会と会員各位および米各界の関係者が引き続き積極的役割を果たし、中米関係の健全で安定した発展のため、より多くの知恵と力で貢献することを希望する。