「歴史を教訓に、未来を共創する」 エッセイコンテスト受賞作選 (四)
2026/06/08

優秀賞

私の中国に対する思い


箕輪厚史

 30年前初めて中国を訪れました。香港、広州、そしてメーンの桂林漓江下りです。婚約指輪を買った時、中国旅行が当たる抽選券をもらい見事当たったのです。招待旅行でしたので、言葉の問題もなく、素晴らしい景色、おいしい食べ物を満喫して来ました。印象に残っているのは、国内線飛行機の客室乗務員、大きなデパートの店員さん等、接客の人達のサービス、笑顔の全くなかったことでした。当時、添乗員さんお話では、中国では職業の自由がなく、そのため嫌いな職業でも働かなくてはいけないのでサービス、笑顔がないと言われました。(本当にそうだったのでしょうか?)それと驚いたことが一つありました。朝、ホテルの近くの公園を散歩していたら、現地の人が話し掛けてきました。「日本のどこから来たのですか?」「新潟です」「田中先生の所ですか」「そうです」こんな会話をしました。国交正常化して10年位経過しているのに、すごいと思いました。

 その頃の中国は鉄道、道路などまだまだ高速時代には入っていませんでした。その後も、日本の政治は保守親米派が政権を握っており、なぜか国交が回復したのに、徐々に中国関係の報道が少なくなりました。ソ連の領空侵犯に伴うスクランブル発進、北朝鮮ミサイル発射などを大々的に報道。明日ミサイルが撃ち込まれて来るような脅し文句。挙句にJアラートなどを発信し、国民に安全保障環境が悪化している、そのため憲法解釈を閣議決定で簡単に変え、防衛費の大幅増額、敵基地攻撃を認め、大幅な兵器の輸出を実現しようとしています。

 この間に中国は高速鉄道網、高速自動車道を、他国の手も借りず全国に広げているのです。そんな中国の近代化についての報道は日本ではほとんどありません。中国国内での自然災害、大規模火災、大規模事故など負のニュースは一報だけ大きく報道、その後の復旧、回復は報道なし、これでは中国に対して良い印象を持ちません。

 何としても、先の戦争を侵略戦争ではない、欧米の侵略戦争から日本がアジア諸国を守ってやるための戦争と美化したい、政府保守派と言われている人達がいるのです。いまだに日清戦争の頃の中国人の髪型(日本のちょんまげは何なんだ)を蔑視して蔑み、そのまま侵略戦争へと突き進み、傀儡国家まで作ったあの頃の再現を望む、上から目線の人々が、今また姿を現しているのです。

 軍備についても中国の軍事費は世界有数などと報道。そのくせ、憲法上軍隊を持たない日本が世界のベスト10に入っていることについてはさらりと報道。逆に隣国が軍備を拡大しているから、日本も抑止力上軍備を拡大しなくてはならない等と煽り。中国の国内問題である台湾まで持ち出し、有事になると大変だ、もっと軍拡を、包囲網を、などと騒いでいる。台湾問題は1972年の日中共同声明で決着しているのではありませんか。日本が中国及びアジアの国々への侵略戦争。虐殺、略奪、毒ガスなどの人体実験等々。このような重大な迷惑を中国並びにアジア各国に掛けたことの事実に正面から向き合い、反省し、お詫びを繰り返す、そんな当たり前のことをしっかりやっていないからと思われます。その反省をしようとしない人達は、ことあるたびに、いつまでも反省しているべきでない、自虐的だと騒いでいるのです。残念。

 同じ戦勝国である米国と中国に対して、ここまで対応の違いは何のでしょう。終戦後学校の授業に英語の科目が設けられ中学校3年間の義務教育期間に学習します、現在では小学校にも英語授業があります。義務教育に近い高校でも3年間英語授業があります。私も6年間英語授業を受けました。それに対して隣国の中国語は全く読めません、同じ漢字なのに、難しいと思います。聞く、書く機会がないからです。国際的の通用する英語。しかし近隣国の言葉を少しは義務教育期間に勉強する機会があってもいいと思います。

 今の日本における、風習、文化は中国から流入しそれを日本風に変えた物や、そのままの物がほとんどと言ってもいいのではないでしょうか、古代の中国には尊敬の念を抱いていながら、なぜ近現代になって蔑視するようなことが起きているのでしょうか。政治制度が違うから、独裁だ、言論の自由がない、監視社会だ。では、日本はどうでしょう同じ政党が政権を長きに渡り握っているではありませんか、報道も政府の言いなり、批判記事は国民の目に触れる前につぶされ、政権批判の放送をすれば、放送免許取り消しなどと、言ってはいけないことを言う元大臣が次の総理にふさわしい人の中に入っている状況。街中に防犯と言う名のカメラ、車のドライブレコーダーなど監視社会ではありませんか。

 日本という国は何かの大きなことで、国民が一つの方向へ向かうという怖い国民性があります。

 歴史認識の解釈を変更し隣国を見下げたい気持ち表れの一つが、中国の9月3日の戦勝記念日行事に対して、日本政府が他国の政府に参加しないように、外交レベルで要請するなどと言う国民の知らないところで、やっている事は許されることでしょうか?例えば日本で原爆慰霊祭行うに当たって、各国に招待案内をする、それに対して他の国が日本の原爆慰霊祭には参加しないように、などと働きかけているとしたら絶対許されるべき事ではありません。このような中国の行事に対して、誰がそのような指示を出したのか追及しない報道機関も許されません。中国は世界の生産工場です、日本をはじめ世界に中国製品が行き渡っている。日本を観光で訪れ外国人の数で断然多いのは中国人なのに。

 日本人は敗戦後、英語圏の人達には過去にもまして、親しもうと接している、その気持を隣国の人達にも表すべきである。政治体制を乗り越えて、歴史認識をしっかり持ち、相手の国の今を知る、見る、食べる、話し合う、そのためにはやはり、国民間の交流をもっと、もっと進めるべきだと思います。