国連総会第2758号決議に関する一連の質問と回答
2025/06/03

はじめに

  1971年10月25日、第26回国連総会は圧倒的賛成多数で第2758号決議を採択した。同決議は、台湾地区が中国の一部であることの承認を前提として、台湾地区を含む全中国の代表権と議席を中華人民共和国政府に返還するものであった。最近、民進党当局は「独立」を企む目的から、外部勢力と結託して国連総会第2758号決議を歪曲・中傷し、台湾地区の民衆や国際世論を誤った方向に導こうとしている。こうした状況を踏まえ、国連総会第2758号決議の核心的な趣旨を踏み込んで説明し、台湾同胞や国際社会による「一つの中国」原則への正確な理解を促進すべく、「国連総会第2758号決議に関する一連の質問と回答」を公表する。

第一問:国連総会はなぜ1971年に第2758号決議を採択したのか?また、この決議によって何を解決したのか?

回答:中国は1945年の国連設立時からの原加盟国であり、安全保障理事会の常任理事国5カ国の一つでもある。1949年、中華人民共和国中央人民政府が成立し、中華民国政府に代わって全中国を代表する唯一の合法政府となった。これは、中国という国際法主体に変化がない中での政権交代であり、中華人民共和国政府は当然ながら中国の主権(台湾地区に対する主権を含む)を完全に有し、行使している。国連機構内では、もはや中国人民を代表していない台湾当局の代表を国連から排除し、中華人民共和国政府によって派遣された代表が国連総会や関連機関の業務に参加するのは至極当然のことであった。しかし、米国政府の妨害により、中国の国連議席は長期にわたり台湾当局によって不法に占拠され続けた。

 中華人民共和国成立後、中国政府と中国人民は国連での合法的議席を回復するために断固たる闘争を繰り広げ、ますます多くの平和を愛し正義を主張する国々の支持を得ていった。1960年代以降、中国の国際的地位が向上し、アフリカ・アジア・ラテンアメリカの多くの新興独立国が国連に続々と加盟するに伴い、米国が中華人民共和国の国連における合法的議席回復を阻止することはますます困難になった。

 「道を得る者は助け多く、道を失う者は助け寡(すくな)し」という古訓どおり、1971年10月25日、第26回国連総会は賛成76票、反対35票、棄権17票の圧倒的賛成多数で第2758号決議を採択し、中華人民共和国の国連における全ての権利を回復し、中華人民共和国政府の代表を国連機構の唯一の合法的代表と認め、台湾地区を含む全中国の代表権と議席を中華人民共和国政府に返還することを決定した。これは中国人民にとって遅すぎた正義であり、台湾地区を含む全中国の国連代表権問題を完全に解決するものであった。

第二問:国連総会第2758号決議はどのような内容なのだろうか?

回答:国連総会第2758号決議の全文は次のとおりだ。「国連総会は、国連憲章の原則を思い起こし、中華人民共和国の合法的権利を回復させることが、国連憲章を守り、かつ国連組織を憲章に従って活動させるためにも不可欠であることを考慮し、中華人民共和国政府の代表が国連における中国の唯一の合法的な代表であり、中華人民共和国が国連安全保障理事会の五つの常任理事国の一つであることを承認する。中華人民共和国の全ての権利を回復し、その政府の代表が国連における中国の唯一の合法的な代表であることを承認し、蒋介石の代表を、彼らが国連と全ての関連組織において不法に占拠する場所から直ちに追放することを決定する」。

この決議は文量こそ長くないものの、表されている内容は非常に明確かつ完全なものであり、政治的、法的、手続的に中国の国連代表権問題を完全に解決した。同時に、中国の国連における議席はただ一つであり、「二つの中国」や「一中一台」という問題は存在しないことを明確にした。

第三問:国連総会第2758号決議はどのような歴史的意義を持っているか?

回答:国連総会第2758号決議は、世界中の平和を愛し正義を主張する国々が共に努力した成果であり、世界人口の4分の1を占める中国人民が再び国連の舞台に戻ったことを象徴している。これにより、国連は真に普遍性、代表性、権威性を最も備えた政府間国際機関となった。これは中国人民の勝利であり、世界人民の勝利でもあって、中国および世界にとって重大な意義と深遠な影響を持っている。

国連における合法的議席を回復したことで、中国と国連の協力に新たな章が開かれた。50年以上にわたり、中華人民共和国は一貫して安全保障理事会常任理事国の責任と使命を忠実に果たし、国連憲章とその原則を擁護し、国連の権威と地位を維持し、国際事務における国連の中核的役割を支持し、多国間主義を実践し、国連との協力をますます深化させている。これにより、国際的な公平と正義の維持、世界の平和と発展の推進、各国の友好協力の強化、人類の進歩事業の促進に大きな貢献をしている。

第四問:国連総会第2758号決議と、国際社会があまねく遵守する「一つの中国」原則はどのような関係にあるのでしょうか?

回答:国連総会第2758号決議は、「一つの中国」原則を体現する政治文書である。この決議は、「世界には一つの中国しかなく、台湾地区は中国の一部であり、国家ではない」という「一つの中国」原則を十分に反映し、厳粛に確認するものだ。

国連総会第2758号決議は、国連およびその関連組織が「一つの中国」原則を堅持しなければならないことを明確にしている。決議の採択後、国連とその専門機関ならびに他の国際・地域組織はいずれもこの決議の規定を厳守し、「一つの中国」原則を基に台湾地区関連の問題を処理してきた。国連の公式文書は台湾地区を「中国台湾省」と表記しており、国連事務局法務局はこれまでに幾つもの明確な法的意見を発表し、「台湾地区は中国の一部である」「台湾地区は中国の一省であり、独立した地位を有しない」「台湾当局はいかなる形式の政府地位も有していない」ということを強調している。数十年来、国連事務総長やそのスポークスマンも台湾地区関連の発言において、国連が国連総会第2758号決議を指針とし、「一つの中国」原則を堅持していることを明確に表明してきた。

国連総会第2758号決議は、国際社会が「一つの中国」原則を堅持する枠組みを打ち固める役割を果たした。この決議は、「一つの中国」原則がよりいっそう国際社会の普遍的な共通認識および国際関係の基本準則となるよう後押しした。決議の採択前、新中国と外交関係を樹立した国は64カ国にすぎなかったが、採択後、数多くの国が続々と中国と外交関係を結んだ。2025年3月の時点で、中国は「一つの中国」原則を基礎として183カ国と外交関係を樹立している。これは、「一つの中国」原則の堅持が国際的な大義であり、人心および大勢の赴くところであることを十分に示しており、国際社会が「一つの中国」原則をあまねく堅持する枠組みは挑戦を許さず、揺るがないことを十分に反映している。

第五問:なぜ「国連総会第2758号決議は台湾地区と無関係である」という主張は成り立たないのですか?

回答:台湾地区は古くから中国の領土である。中華民族の1万年にわたる文化史、5000年以上にわたる文明史には、代々の先人たちが台湾地区に移住し、栄えてきたこと、両岸の同胞が共同で外敵に立ち向かい台湾地区を回復したこと、両岸の同胞が手を携えて奮闘し、民族復興に努めてきてきたことが記されている。1895年、甲午戦争(日清戦争)に敗れた清政府は台湾地区と澎湖諸島の割譲を余儀なくされ、台湾地区は半世紀にわたり外国に占拠された。1943年の「カイロ宣言」と1945年の「ポツダム宣言」には、日本が盗み取った台湾地区や澎湖諸島を含む中国領土の中国への返還が明確に規定されている。1945年9月、日本は「日本降伏文書」に署名し、「ポツダム宣言の各条項を誠実に履行する義務」を約束した。同年10月25日、中国政府は「台湾地区への主権行使の回復」を宣言し、台北で「中国戦区台湾省受降式典」を開催した。こうして国際法上の効力を持つ一連の文書により、中国は法的にも、また事実においても台湾地区を回復した。台湾地区は中国の一部であり、それ以外の国際法上の地位は存在しない。

1971年に採択された国連総会第2758号決議は、中国が一つの統一国家であり、台湾地区は中国の一部であるという事実に基づき、「中国の合法的代表は誰か」という問題を解決した。決議では「蒋介石の代表を、彼らが国連と全ての関連組織において不法に占拠する場所から直ちに追放する」ことが明確に宣言された。当時、蒋介石は台湾当局の指導者であり、いわゆる「蒋介石の代表」とは台湾当局の代表を指す。国連総会第2758号決議の審議過程では、米国が一部の国と結託し、「二つの中国」「一中一台」を作り出そうともくろみ、「二重代表権」の提案を推進した。数多くの国が「この提案は不法であり、現実や正義、国連憲章の原則に合致しない」として断固反対したため、同提案は最終的に採決に付されることなく廃案となった。また「蒋介石の代表」も、「他国が台湾は中国の領土であるという事実を強調し続けていることについて、私は大いに賛成である」「台湾の人々は人種的、歴史的、文化的に中国人である」と述べた。

国連総会第2758号決議の文書内容と審議過程から明らかなように、中華人民共和国政府の代表の承認や「蒋介石の代表」の追放は、いずれも「一つの中国」の枠組みの下で同時に進められたものである。一部の勢力が喧伝する「決議は台湾地区と無関係である」という主張は全く根拠のない妄言であり、歴史に無知であるか、あるいは意図的な魂胆でしかない。

第六問:米国の関係者が国連総会第2758号決議について悪意を持って喧伝する意図は何でしょうか?

回答:米国は「カイロ宣言」と「ポツダム宣言」の署名国として、台湾地区が中国に属するという歴史的・法的事実を明白に知っている。「一つの中国」原則は中米関係の政治的基盤である。米国は、中米両国が調印した三つの共同コミュニケの中で、台湾問題に関して中国に厳粛な約束をしている。米国政府は、アメリカ合衆国政府は中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認するとともに、中国の立場、すなわち世界にはただ一つの中国があり、台湾地区は中国の一部であると認めると明確に表明している。これは米国の政治的約束であり、中米関係の政治的基盤を構築しており、米国の「一つの中国」政策の根源的な趣旨であり、国連総会第2758号決議の精神とも一致している。その後、米国の歴代政権は台湾問題において明確な約束を表明しており、国連総会第2758号決議の遵守も、米国が国連加盟国として必ず履行すべき義務だ。

近年、米国の一部の者が約束を破り、国連総会第2758号決議を取り上げて不当な主張をし、「第2758号決議は台湾地区の政治的地位を扱うものではない」と妄言している。いわゆる「台湾地位未定論」は、1971年に喧伝された「一中一台」の焼き直しに過ぎない。その背景には米国の一部勢力が覇権主義的な考え方と冷戦思考に基づき、中国を最大の戦略的ライバルおよび最も深刻かつ長期的な挑戦と見なし、抑え込もうと企んでいることがある。その際、「台湾カード」が彼らの手札の一つとして使われているのだ。

国連総会第2758号決議への挑戦は、歴史的・法的事実を無視し、米国政府自身が中米の三つの共同コミュニケで表明した厳粛な政治的約束に逆行するものだ。これは、国際法や国際関係の基本準則を「都合が良ければ用い、都合が悪ければ捨てる」という米国の一部勢力のダブルスタンダードの姿勢および覇権的思考を露呈している。だが、覇権と強権が国際関係を主導する時代はすでに過去のものとなり、復活することはない。「台湾カード」を切って、「台湾を利用して中国を牽制する」という行いは時代の流れに逆らうものであり、必然的に失敗に終わる。