囲碁通じた中日交流、次の50年へ関係深める ――駐新潟総領事孫大剛が河北新報に中日国交正常化50周年記念文章を寄稿
2022/09/23

 2022年9月23日、中日国交正常化50周年を記念し、孫大剛総領事は河北新報に「囲碁通じた中日交流、次の50年へ関係深める」と題した文章を寄稿しました。全文は以下をご覧ください。

 駐新潟中国総領事館は8月、中日国交正常化50周年を記念して「朱鷺杯」中日友好青少年囲碁大会を開催した。中日友好省・県で編成した代表チームのうち、宮城・吉林チームの若い棋士たちが群を抜いた実力を示し優勝した。新型コロナウイルスの流行が長期化する中、このオンライン大会は中国と当館業務エリア4県の青少年の間で「碁を通して友となる」という橋を懸け、中日文化交流における囲碁の独特な魅力を表した。

 囲碁は中日交流の中で発展してきた。囲碁の起源地は約4300年前の黄河中・下流域で、約1300年前、遣唐使の吉備真備が日本に伝えたという。その後、古代の「玄玄碁経」「決勝図」など中日の名人が作った棋譜から今日のさまざまなプロ棋戦まで、両国の囲碁界は互いに学び合い、1000年の交流を続けてきた。今や世界中で愛好される囲碁の発展は中日を含む多国の人々の知恵と模索の結晶であり、中日交流の悠久な歴史と世界文明への重要な貢献を映し出すものでもある。

 囲碁は中日国交正常化を推進した。中華人民共和国成立後、中日は囲碁交流の仕組みを定め、1950年代末から幾多の親善棋戦を開催した。当時の囲碁代表団の中に、宮城出身の安倍吉輝九段もいた。64年、日本人棋士29人が囲碁愛好家に中日国交正常化署名活動への参加を呼びかけた。各界の努力を経て72年、中日国交正常化が実現し、囲碁交流の発展も新たな段階を迎えた。それ以降の半世紀、中日各分野の交流・協力はかつてない広がりと深まりを見せ、両国民に確実に利益をもたらした。

 文化交流は友好事業のよりどころ。囲碁は50年後の今も中日文化交流の重要な一翼を担う。仙台市出身の一力遼九段ら中日囲碁界で影響力を持つ若手棋士が現れ、囲碁で中日文化交流を推進するポテンシャルは高い。2000年に及ぶ中日交流史は文化交流を進めれば文化の繁栄に役立つだけでなく、国民感情の増進と両国関係の深化にも資することを示唆している。末永い中日友好関係を構築するには政治的信頼と経済の融合が欠かせず、文化の相互作用と民心の通い合いも不可欠だと思う。

 今、中日の若い世代の文化交流のテーマは日増しに豊かになり、琴碁書画などの伝統的形式から映画、小説、アニメ、ゲームといった新たな分野へと広がっている。個人メディアや交流サイト(SNS)の発展に伴い、民間交流も一層多様になった。これらの文化媒体と技術手段は両国民、特に若年層の交流を促進し、さらに双方の社会制度の違い、言語・文化やイデオロギーの壁を越えるのに役立ち、新時代にふさわしい中日関係の構築に寄与するものと信ずる。

 目下、世界情勢の変容は碁盤上の変化をはるかに超え、中日関係の地域的、世界的意義は際立っている。2000年の往来史と国交正常化50年の歩みは、平和共存、友好協力こそ両国の唯一の正しい選択肢であることを物語っている。双方が初心を忘れず互いに寄り添う姿勢で、一層成熟し安定した健全で強靱な中日関係を次の50年につなぐことを期待したい。