友好の伝統を受け継ぎ、共によりよい未来を ——駐新潟総領事孫大剛が福島民報に中日国交正常化50周年記念文章を寄稿
2022/08/30

 2022年8月30日、中日国交正常化50周年を記念し、孫大剛総領事は福島民報に「友好の伝統を受け継ぎ、共によりよい未来を」と題した文章を寄稿しました。全文は以下をご覧ください。

 今年は中日国交正常化五十周年。この節目の年に、福島県喜多方市と江蘇省宿遷市が正式に友好都市関係を締結し、長年にわたる相互訪問・交流が大きな実を結び、中日友好都市がさらに一組増えた。福島には、中国との交流を積極的に展開している都市は、喜多方以外にもまだたくさん挙げられる。このような緊密な往来は、三つの「礎」に根ざしているのではないかと思う。

 一つ目は深遠な歴史的文脈。福島は江戸時代の会津藩の中心地域を占め、ここにある旧藩校の日新館は儒家の経典によって地元民の気質を育てていた。一九八〇年代、壊れた校舎を再建するため、会津若松は「孔子廟訪問団」を結成して山東省を訪問した。今日でも日新館の大成殿に入ると、孔子像の前は各地からの見学者が引きも切らない。

 二つ目は深化し続ける民間交流。福島県日中友好協会は最も早く設立された日中友好関連の地方組織の一つ。六十余年間、同協会は様々な中日交流活動を繰り広げてきた。このほか、福島を中心に活動する日中友好技術人材交流協会等多くの民間団体も、実際の行動で中日友好の促進に貢献している。

 三つ目は深いレベルの実務協力。歴史の蓄積と民間の友好は対中協力のよい基礎を築いた。近年、福島の対中輸出入は拡大傾向を保ち、年間貿易額は二〇二〇年に八百五十億円を上回った。経済分野の協力が深まり続けると同時に、コロナ禍において、福島と中国の医療衛生に関する協力も発展してきた。

 五十年来、中日両国の間で計二百六十組余りの友好都市が誕生し、地方交流・協力はすでに両国関係発展の重要なよりどころになっている。目下、中日関係は大事な十字路にさしかかり、中日各界はなおさら信頼関係を深め、互いに歩みよる必要がある。

 第一に先人の知恵を学ぼう。中日関係は風雨の歩みを経ており、世界情勢がどう変わろうとも、平和・友好・協力の大方向は揺らいではならないという教訓を双方が得た。福島は元日中友好議員連盟会長・伊東正義氏の故郷。同氏はかつて中日関係が難局に直面した際、それを正常な軌道に戻すため重要な役割を果たされた。長年、両国には時局の霧を吹き払い、正しい方向をおさえることのできる多くの有識者が現れ、われわれに未来を照らす知恵を与えてきた。

 第二に現在の人と共に発展を図ろう。中日の友好協力関係は両国国民の根本的利益にかない、世界の平和・安定・繁栄にも資する。現在、人類共通の課題が次々と生じるなか、中日各界は連携を一層深め、問題解決にプラスのエネルギーを注ぐべきである。近年、福島はクリーンエネルギーの開発を加速し、中国各地も新しい発展理念を貫き、低炭素への転換を図っており、双方は新エネルギーなどの分野で幅広い協力の可能性を擁しており、共通利益の「ケーキ」を一段と大きくすることは期待できる。

 第三に次の世代のため新局面を切り開こう。中日友好の土台は民間にあり、その未来は若い世代に担っている。福島は中日青少年交流の面で、多くの試みをしてきた。例えば福島民報社と解放日報社はかつて中日友好青少年絵画展を開き、会津若松と荊州は何度も青少年書画交流展を共催している。当総領事館もこの数年、青少年訪中団や「朱鷺杯」中日友好シリーズコンペ等の「架け橋」をつくることにより、両国の友好事業が引き継がれるようにしている。

 『春秋左氏伝』には「仁ニ親シミ隣ト善クスルハ、国ノ宝ナリ」(親善的な隣国は国の重宝である)という教えがある。歴史の新たなスタート地点に立ち、われわれは福島の友人とともに、初心を忘れず、新時代における中日関係のよりよい未来を切り開き、より成熟し、安定的な中日関係を次の五十年につなげられることを願っている。