駐新潟総領事館、日本の東北大学に新版「魯迅手稿全集」を贈呈
2022/07/27

  2022年7月26日、中日国交正常化50周年および日本東北大学創立115周年を記念するため、駐新潟総領事館はかつて魯迅が学んだ日本の東北大学に新版「魯迅手稿全集」を贈呈しました。贈呈式は同校で100年の歴史を持つ「魯迅階段教室」で行われ、孫大剛駐新潟総領事、東北大学の大野英男総長、植木俊哉副総長らが出席し、魯迅の孫で魯迅文化基金会会長を務める周令飛氏がビデオメッセージを寄せました。

あいさつする孫大剛総領事

 孫大剛氏は次のように表明しました。100年余り前の1904年、魯迅は救国救民の理想を胸に抱き、近代医学を学ぶため、東北大学の前身である仙台医学専門学校にやって来ました。彼はここで解剖学の藤野厳九郎教授と深く厚い子弟の友情を結ぶとともに、「文芸による国民精神の改造」という遠大な志を立てた。仙台を離れて20年後、魯迅はここでの思い出を散文「藤野先生」に記し、中日関係に暗雲が垂れ込めていた時代にあって、両国の民間友好に感動的な美談を添えた。百余年後の今日、先賢をしのび、青年の学問習得を奨励し、友好の信念を受け継ぐため、駐新潟総領事館は新版「魯迅手稿全集」を魯迅のかつての留学先に届けることにしました。東北大学の教師・学生が魯迅を一層全面的に深く理解する一助とするとともに、学術研究の参考に供し、中日交流の促進に助力していきたい。

 孫総領事はさらに次のように述べました。今年は中日国交正常化50周年で、また東北大学創立115周年でもあります。長年にわたり、東北大学は「研究第一、門戸開放、実学尊重」の理念を掲げ、国際交流・協力を幅広く展開し、対中友好の伝統を大いに発揚して、中日友好事業発展の後押しに尽力する多くの人材を養成しました。現在、中日関係は重大な岐路に差し掛かっており、発展のチャンスを迎えるだけでなく、複雑な挑戦〈課題、試練〉にも直面している。新たな歴史の起点に立ち、東北大学が人・文化の対中交流を拡大し、教育協力を深め、より多くの新時代の中日友好の物語を紡ぎ、両国関係を平和友好協力の正しい方向に沿って長期に永続させるため新たな貢献をするよう期待しています。

あいさつする周令飛会長

 周令飛会長はビデオメッセージの中で次のように述べました。より完全で、より高い水準の「魯迅手稿全集」を編集・出版することは常に魯迅の子孫の良き期待となっていた。今回、新版の全集に収録されている資料の大部分は魯迅の子孫が寄贈したものであり、その中には魯迅の一人息子である周海嬰が危篤に陥った時に国家に寄贈した魯迅直筆サインの全ての単行本が含まれている。これらの寄贈の初志はいずれも魯迅の子孫の伝統的な共通認識に由来しており、それはすなわち「自分」を押さえ、「大勢」と共有することです。今日、「魯迅手稿全集」が魯迅の恩師である藤野先生の学校に届きました。これは魯迅思想を広め、中日の友誼を伝達し、文化の相互参照を後押しするのに役立つでしょう。

あいさつする大野英男総長

 大野英男総長は次のように述べました。駐新潟中国総領事館からの貴重な新版「魯迅手稿全集」の贈呈に感謝すると同時に、今回の活動に対する魯迅文化基金会の配慮・支援に感謝を申し上げます。魯迅は東北大学の学校史における初の外国人留学生であり、彼の後、ここからは数学者の蘇歩青、陳建功ら多くの著名な中国籍の校友が巣立ちました。現在、東北大学の在校留学生の総数はすでに3000人を超え、そのうち1300人余りは中国から来ている。魯迅と藤野先生の友情を記念するため、当校は「藤野先生記念奨励賞」を設立しました。優秀な中国人留学生を奨励するのに用いる。今後、東北大学は「魯迅手稿全集」を十分に活用し、中日友好の貴重な遺産を継承し、魯迅の知恵を伝承、発揚することを重要な使命として、世界的な課題に貢献できる優秀な人材の育成に努めて参ります。

大野総長に贈呈目録を手渡す孫総領事

孫総領事に返礼の記念品を贈る大野総長

 新版「魯迅手稿全集」は中国国家図書館が中心となって編さんし、北京、上海、紹興、広州など各地の関係機関と連携し、共同で実施したもので、多くの専門家・学者がこれに参加し、4年の歳月を費やし、2021年9月の魯迅生誕140周年に際し正式に出版された。全集は7編に分かれ、計78冊で、写真製版したクリアな手書き原稿3・2万ページ余りが収録され、これ以前の同類の出版物に比べ1・5万ページ近く増えており、歴史的価値、学術的価値、芸術的価値が極めて高い。今回、駐新潟総領事館が東北大学に贈呈した「魯迅手稿全集」は同校の史料館に所蔵される予定。