中華人民共和国国連合法的議席回復 50周年記念会議での習近平演説<全文>
2021/10/27

  北京25日発新華社電によると、習近平国家主席が同日、中華人民共和国の国連における合法的議席回復50周年記念会議で行った演説の全文は次の通り。

 尊敬するグテーレス事務総長

 中国駐在の外交使節および国際機構代表の皆さま

 ご在席の皆さん

 友人の皆さん、同志の皆さん

 50年前のきょう、第26回国連総会は圧倒的多数で第2758号決議を採択し、中華人民共和国の国連におけるすべての権利を回復し、中華人民共和国政府を中国を代表する唯一の合法的代表として承認することを決定した。これは中国人民の勝利で、世界各国人民の勝利でもある。

 きょう、この特別な日に、われわれが一堂に会して、歴史を回顧し、将来を展望するのは大いに意義のあることだ、

 新中国の国連における合法的議席が回復されたことは、世界における一大事件であり、国連の一大事件でもあった。それは世界の平和を愛し正義を守るすべての国の共同の努力のたまものだった。それは世界人口の4分の1を占める中国人民が再び国連の舞台に立ったことを示していた。それは中国にとっても、世界にとっても、重大で深遠な意義のあることだった。

 ここで、中国政府と中国人民を代表し、国連総会第2758号決議のすべての提案国と支持国に謹んで心からの感謝を表したい。正義を守ったすべての国と人民に最高の敬意を表したい。

 ご在席のみなさん、友人・同志の皆さん

 新中国の国連での合法的議席回復以降の50年は、中国が平和的に発展し、人類に幸福をもたらした50年だった。

 ――この50年に中国人民はつねに自彊してやまぬ精神を発揚し、情勢の目まぐるしい変化の中で前進の方向をしっかりおさえ、中国および人類発展の壮大な叙事詩をつづった。新中国成立以降の国家建設と発展を基礎に、中国人民は改革開放という歴史の新しい時期をスタートさせ、中国の特色ある社会主義を成功裏に切り開き、発展させ、社会的生産力を絶えず解放し発展させ、絶えず生活水準を高め、生産力が相対的に遅れた状態から経済総量世界第2位への躍進という歴史的突破を実現した。刻苦奮闘を経て、中国人民は自らの両手を使って中華の大地で〈ややゆとりのある〉小康社会全面完成の目標を実現し、貧困脱却堅塁攻略戦に勝ち、史上初めて絶対的貧困問題を解決し、近代的社会主義国家全面建設の新たな征途を開き、中華民族の偉大な復興という明るい未来を迎えた。

 この50年に中国人民はつねに世界各国の人民と連帯・協力し、国際的公平・正義を守り、世界の平和と発展に大きな貢献をした。平和を熱愛し、平和・安寧の大切さをよく知っている中国人民はつねに、独立自主の平和外交政策をとり、公正を守り、正義を伸ばし、覇権主義と強権政治に断固反対した。中国人民は広範な発展途上国の、自らの主権、安全保障、発展上の利益を守る正義の闘争を揺るぎなく支持した。中国人民は共同の発展を図るために力を尽くし、「タンザン鉄道」から「一帯一路」まで、発展途上国にできる限りの援助を行い、中国の発展によって絶えず世界に新たなチャンスを与えた。新型コロナウイルス感染症が世界を席巻した危難の時に、中国は世界と積極的に予防・制御の経験を分かち合い、各国に大量の感染対策物資、ワクチン・薬品を届け、ウイルス起源追跡の科学協力を深く繰り広げ、誠意をもって人類が感染症に完全に打ち勝つために積極的に努力した。

 ――この50年に中国人民はつねに国連の権威と地位を守り、多国間主義を実践しており、中国と国連の協力は日増しに深まった。中国は国連安保理常任理事国の職務と使命を忠実に果たし、国連憲章の目的と原則を守り、国連の国際実務における中心的役割を守った。中国は紛争の平和的方法による政治解決を積極的に提唱し、延べ5万人余りを国連平和維持活動(PKO)に派遣し、すでに国連分担金第2位、PKO分担金第2位となっている。中国は国連ミレニアム開発目標(MDGs)を真っ先に実現し、先頭に立って持続可能な開発のための2030アジェンダを実行に移し、世界の貧困撲滅への寄与率は70%を超えている。中国はつねに国連憲章と「世界人権宣言」の精神を順守し、あくまでも人権の普遍性と中国の現実を結びつけるようにし、時代の潮流に沿い、中国の特色のある人権の道を歩んで、中国の人権の進歩と国際人権事業に大きな貢献をした。

 ご在席の皆さん、友人・同志の皆さん

 世界の潮流は大きなうねりとなり、それに従うものは栄え、逆らうものは滅ぶ。過去50年間、国際情勢には起伏があったが、世界各国人民の共同の努力の下で、世界は全体的に安定を維持し、世界経済は急速に発展し、科学技術の革新〈イノベーション〉は日進月歩で、一群の発展途上国が大きく成長し、十数億の人口が貧困を脱し、数十億の人口が絶えず近代化に向かった。

 目下、この100年間なかった世界の大変化が急速に進化し、平和・発展・進歩勢力が絶えず増大している。われわれは歴史の大勢に沿って、協力を堅持し対抗をせず、開放を堅持し封鎖をせず、互恵・ウィンウィンを堅持しゼロサムゲームをやらず、あらゆる形式の覇権主義と強権政治に断固反対し、あらゆる形式の一国主義と保護主義に断固反対すべきである。

 ――平和、発展、公平、正義、民主主義、自由という全人類の共通の価値を大いに広く発揚し、一層すばらしい世界建設のために共に正しい理論的導きを提供すべきだ。平和と発展はわれわれの共同の事業で、公平・正義はわれわれの共通の理想で、民主主義・自由はわれわれが共に追求するものである。世界は多彩であり、多様性は人類文明の魅力であり、さらに世界の発展の活力と原動力の源でもある。「百家ノ美を尽クサザレバ、一人ノ奇ト成ル能ワズ〈いろいろな人の長所を広く取り入れてはじめて新しい物を生み出し、独特の風格を作り上げることができる意〉」という。文明には特色、地域の違いがあるだけで、上下、優劣はなく、交流の中ではじめて融合でき、融合して初めて進歩できる。ある国の歩んでいる道がよいかどうかで大事なのは、自国の国情にかなっているか、時代の潮流に沿っているか、経済発展、社会の進歩、民生の改善、社会の安定をもたらせるか、人民の支持と擁護が得られるか、人類の進歩的事業に貢献できるかどうかをみることだ。

 ――連携して人類運命共同体の構築を図り、恒久平和、普遍的安全保障、共同繁栄、開放・包摂の、クリーンで美しい世界を共に建設すべきだ。人類は一つの総体で、地球は一つの古里だ。いかなる者、いかなる国もわが身だけを守ることはできない。人類は心を合わせて助け合い、和合して共生し、人類運命共同体構築の方向へ絶えず突き進み、一層すばらしい未来を共に創造すべきである。人類運命共同体の構築を図るとは、一つの制度がもう一つの制度に取って代わり、一つの文明がもう一つの文明に取って代わることではなく、社会制度、イデオロギー、歴史・文化、発展レベルの異なる国が国際実務において共に利益を生み、共に権利を有し、共に責任を担い、よりよい世界の共同建設という最大公約数を形成することである。

 ――互恵・ウィンウィンを堅持し、共に経済社会発展を図り人民によりよく幸福をもたらすべきだ。中国の古人は、「治ヲ為ス之本ハ、務メテ民ヲ安ンジルニアリ。民ヲ安ンジル之本ハ、用ニ足ラシムルニアリ」と述べている。発展を図り、安心して暮らし、なりわいにいそしむことは各国人民の共通の願いである。人民のために発展させてこそ、発展は意義があり、人民に依拠して発展させてこそ、発展には原動力がある。世界の各国は人民中心を堅持し、より質の高い、より効率がよく、一層公平で、より持続可能で、より安全な発展の実現に努めるべきである。発展の不均衡・不十分な問題を解決し、発展の均衡性、調和性、包摂性を高めなければならない。人民の発展能力を強め、誰もが参加し誰もが享受する発展環境を作り上げ、発展の成果の恩恵がすべての国すべての人により多くより公平に及ぶような局面を生み出さなければならない。先ごろ、私は第76回国連総会で、グローバル開発イニシアチブを提起しており、各国が共に努力し、全世界の発展に対する新型コロナウイルス感染症の打撃を克服し、持続可能な開発のための2030アジェンダの実行を急ぎ、グローバル開発共同体を築くよう希望する。

 ――協力を強化し、人類が直面しているさまざまな挑戦〈試練〉と地球規模の問題に共に対応すべきだ。地域紛争とテロリズム、気候変動、サイバーセキュリティー、バイオセーフティーなど地球規模の問題が国際社会の前に置かれており、一層包摂的なグローバルガバナンス、一層効果的な多国間メカニズム、一層積極的な地域協力を形成しなければ、これにうまく対応できない。気候変動は大自然が人類に対して鳴らした警鐘である。世界の各国は実際の行動をとって自然のために安全な境界を守り、グリーンな回復、グリーンな生産、グリーンな消費を奨励し、文化的で健康な生活様式の形成を図り、人と自然が調和共生する枠組みを作り上げ、良好な生態環境を持続可能な開発の尽きることのない源にすべきである。

 ――国連の権威と地位を断固守り、真の多国間主義を共に実践すべきだ。人類運命共同体の構築を図るには、強力な国連が必要で、グローバルガバナンスシステムの改革と整備が必要だ。世界の各国は国連を中心とする国際システム、国際法を基礎にした国際秩序、国連憲章の目的と原則を基礎にした国際関係の基本的準則〈規範〉を守るべきである。国際ルールは国連の193の加盟国が共同で定めることしかできず、ごく一部の国と国家グループで決定してはならない。国際ルールは国連の193の加盟国が共に順守すべきで、例外はなくまた例外があるべきではない。国連に対して、世界の各国は尊重の姿勢をとり、この大家庭〈共同体〉を愛し守るべきで、決して都合がよければ利用し、都合が悪ければ捨てるようなことをしてはならず、人類の平和と発展を促進する崇高な事業において国連により積極的な役割を果たさせるべきである。中国は各国と共に協議・共に建設・共に享受する理念にのっとり、協力の道筋を模索し、協力の方式を革新し、新たな情勢下の多国間主義の実践を絶えず豊かにすることを願っている。

 ご在席の皆さん、友人・同志の皆さん

 昔の事を思い今の事に触れ、いにしえを鑑みて来るべきを知るという。歴史の新しいスタート地点に立って、中国はあくまでも平和的発展の道を歩み、つねに世界平和の建設者になる。あくまでも改革・開放の道を歩み、つねに全世界の発展の貢献者になる。あくまでも多国間主義の道を歩んで、常に国際秩序の守り手になる。

 「青山一道ナレバ雲雨同ジウス、名月何ゾ曾チ両郷ナランヤ」〈異なる地に分かれていても、雲と雨は同じで、明月は二つの郷から一緒に見ることができる意。唐の詩人の王昌齢の「送柴侍御」から〉。手を携え、歴史の正しい側に立ち、人類の進歩の側に立って、世界の永続的平和発展のため、人類運命共同体の構築のためにたゆまず奮闘しようではないか。

 ご清聴ありがとうございました。